どーも、元銀行員のおしのです。
今回は好評の毎月返済額シミュレーションシリーズの10回目、住宅ローンで6000万円借りた場合の毎月返済額シミュレーションについて話していきます。
借入額別の毎月返済額シミュレーションシリーズはこれで最後にしようと思います。
6000万円借りた場合の返済シミュレーション
上の図ではボーナス返済1回分当たりの金額をボーナス返済なし、約10万円、約20万円、約30万円で分けています。
注意してほしいのはボーナス月の合計支払額は、
毎月返済分+ボーナス返済分=ボーナス月の合計支払額
となります。
上の図の左から2つ目の列のシミュレーションを例にとると、ボーナス月の合計支払額は
(毎月返済額)141,757円+(ボーナス返済分)100,073円=241,830円
となります。
また、金利については一応0.6%~1.5%のそれぞれのパターン別で作っていますが、イメージを持ってもらうと、変動金利で組むと今大体安いところで(ネット銀行など)0.6%程度の金利で組めます。ただし変動金利の場合、途中で金利が上がったり下がったりと変動する可能性があるので、あくまで0.6%で組んでそのまま35年返済し続けたときの話です。
仮に金利が途中で1.0%や1.5%まで上がったときに、どのくらいの返済額になるかが分かるよう目安としても、下図の1.0%~1.5%のシミュレーションは参考になるかなと思います。
固定金利の場合は、短期間固定金利(10固定金利など)なら大体1.0%程度なので、目安としては1.0%のシミュレーションが参考になります。
また、全期間固定金利(35年固定金利など)の場合は安くて大体1.5%程度の金利なので、全期間固定金利選択の人は1.5%のシミュレーションを参考にしてもらえるとよいです。
返済額を決める上での目安
毎月返済額を決める上で大切なのは自分の返済能力以上に借りすぎないことです。
一般的に返済額の目安は、「年間返済額」と「年収」を考慮して設定します。
「年収」というのは手取りベースではなく、源泉徴収票や所得証明書などに記載される、税金が引かれる前の(税引き前の)数字で考えます。
この「年間返済額」というのは、新しく組む住宅ローンの他に、マイカーローンやフリーローンもすでに組んでいる場合などはこの返済額も当てはまります。
一般的には6000万以上の場合年間返済額が年収の40%未満の範囲内で設定します。銀行ではこれを返済比率と呼びます。
簡単な例を用いて、イメージしてもらえればと思います。
<例>
・年収900万円のAさんの場合(他にローンなし)
900万円×40%=360万円
・年収900万円のBさんの場合(マイカーローン年間75万円と学資ローン年間75万円返済中)
900万円×40%=360万円
360万円-150万円(マイカーローン返済部分+学資ローン返済部分)=210万円
Aさんは年間返済額が360万円未満になるように、住宅ローン資金を借りたほうが良いということになり、Bさんの場合はマイカーローンと学資ローン合わせて別に年間150万円の返済があるので、360万円から150万円を差し引いた210万円未満の年間返済額で住宅ローンを組んだ方が良いということになります。
先ほどの金利1.5%で組んだ時のシミュレーション図を見てましょう。
この金利1.5%でローンを組んだ時のシミュレーションでは、年間合計返済額が約220万円くらい(参考:図の真ん中辺りに記載の年間合計返済額)です。
Aさんの場合は年間合計返済額が360万円未満であれば返済額の目安としてOKなので、年間返済額が約220万円の場合
Aさんの年間返済額目安360万円>約220万円
となり、金利1.5%で6,000万円の住宅ローンを組んでも大丈夫、ということになります。
そしてBさんの場合だと年間返済額210万円未満で住宅ローンを検討する必要があります。先ほど同様に年間返済額が約220万円の場合
Bさんの年間返済額目安210万円<約220万円
となり、Bさんの年間返済額目安の210万円を越えてしまうので、金利1.5%で6,000万円の住宅ローンを組むのは辞めた方がよい(条件を変えたほうがよい)ということになります。
これによりBさんは0.6%(変動金利)や1.0%(短期間固定金利)などの低い金利で組むか、借入額を6,000万円から減らすことなどにより年間返済額を調節する必要があります。
このような感じで、ボーナス返済を使う場合でも返済を使わない場合でも、年間返済額に大差は無いので、年間返済額が年収の40%未満になるように意識しておきましょう。
住宅ローン以外にかかってくる費用(維持費等)
まずは住宅購入後の維持費についてまとめます。
①火災保険・地震保険
火災保険・地震保険は必須ですね。地震保険は基本的に火災保険にオプションとしてつけるような形になります。
もし入っていない場合は火災や地震で家が焼失、倒壊した場合に補償してくれるものが何もない状態になります。
火災保険だけで済ませる人は多いんですが、日本は地震大国なので地震による倒壊に備えて地震保険も合わせて入っておいた方が良いです。
保険会社にもよるんですが、火災保険と地震保険で年間約2~3万円ですね。
ただ火災保険の場合は10年一括払い、地震保険の場合は5年一括払いが出来ます。できれば一括払いで済ませた方が保険料としてはかなり費用を抑えられます。
ちなみに保険会社は、住宅業者の担当者から紹介されたところにそのまま入ってしまう人が多いんですが、住宅業者が指定する保険会社は高いところが結構多いので、言われるがまま入るんじゃなくてきちんと他の保険会社の見積りを取っておきましょう。
住宅業者の担当者も保険のノルマがあるので、住宅業者にとって(担当者にとって)利益の高い保険に入ってもらうようにするんですよね。
お客さんとしてはそもそもどこの火災保険がいいとか分からないので、他の保険会社と比較せずにそのまま入ってしまうケースが多いです。
保険は会社によって全然価格も内容も違ってくるので必ず色んな会社の見積もりは取っておきましょう。
②固定資産税・都市計画税
住宅を購入すると、毎年固定資産税と都市計画税を国に収めていくことになります。(厳密に言うと都市計画税は、市街化区域という地域に住宅を所有した場合にかかります。詳しい説明をすると難しくなるので、基本的に都市計画税は皆さん払うことになると思ってもらって大丈夫です。)
1年間で国に収める固定資産税と都市計画税の大体の金額は
合計:およそ20万円前後
になります。
固定資産税と都市計画税は固定資産税評価額によって変わるので、あくまで目安です。
参考に書いておきますが、固定資産税と都市計画税の計算は以下のような計算になります。
固定資産税=固定資産税評価額×1.4%
都市計画税=固定資産税評価額×0.3%
③修繕費・管理費
【分譲マンションの場合】
マンションの場合は毎月管理費と修繕費がかかってきます。
管理費というのはマンションを管理していくうえでかかってくる費用のことで、例えば管理人さんと警備会社を雇ったり、エレベーターや自動ドア、照明等の点検などマンションの住人が日々快適な状態で過ごせるように徴収されます。
これと違って修繕費は、マンションの大規模工事をする時に備えて積立金として徴収されるものです。マンションも年数が経つと外壁工事が必要になったり、屋根の工事が必要になったりしてきます。
皆さんが安全に暮らせるようにしっかりと事前に、マンションの住人から徴収して積み立てておこうというものです。
修繕費・管理費の目安としては
中古マンションで毎月約2万円
新築マンションで毎月約4万円
という感じですね。
【戸建てや新築の場合】
戸建てや新築のような場合は誰かに管理してもらっているわけでもないので、毎月管理費や修繕費を収める必要はありません。
ただ、管理費はかからないとしても、修繕費については貯蓄として毎月貯金していくことをオススメします。
新築でも10年~15年も経てば屋根や外壁等の大規模工事をする必要が出てきます。
一般的な戸建ての場合は、そういった大規模工事費用で目安で大体80~120万円前後はかかってきます。
その場合の必要経費として毎月1万円は積立しておきたいです。
もし10年間毎月1万円ずつ積み立てておけば
毎月1万円×12か月×10年=120万円
と、10年間で120万円の貯金を作ることが出来ます。
120万円あれば、家の修繕や大規模工事としてはひとまず安心です。
住宅ローンと住宅維持費に不安?いえいえ、住宅ローン控除があります!
以上、住宅ローンの毎月返済額と住宅維持費について書いてきましたが、住宅を買ってローンを組むと色々費用がかかってくるんだな~と不安になる方がいると思います。
しかし、今住宅ローンを組むと住宅ローン控除ってのが10年間にわたって受けることが出来ます。
住宅ローン控除については別記事で詳しく書いているんですけど、簡単に言うと毎年12月31日時点の住宅ローン残高に応じて国からお金がもらえるという制度です。
住宅ローン残高(毎年12/31時点)×1%=住宅ローン控除額(もらえるお金)
という計算になります。
例えば
平成29年1月に、住宅ローンを6,000万円で組み、毎月の返済が始まりました。
平成29年12月31日に住宅ローンの残高が5,900万円だったとします。
そうしたら
5900万円×1%=59万円
という計算になり、平成29年度はこの59万円が国から支給されるという仕組みです。
厳密に言うと所得税との関係でこの金額より安くなる場合はあります。
住宅ローン控除については詳しくはこちらも参考に(分かりやすい住宅ローン控除の説明、お得なテクニック等)
つまり、最初の10年間のうちは国から住宅ローン控除として毎年お金がもらえるので、最初の10年間の負担はずいぶんと減ります。
10年経った後は住宅ローン控除は受けられなくなるんですが、10年経てばその分建物の固定資産税評価額は基本的に下がりますので、今度は固定資産税・都市計画税の負担が減ることになり、その分税負担が減ることになります。
さいごに(おしののひとこと)
住宅ローンを組む上で、住宅ローンの毎月返済額、住宅維持費用が心配になることがあると思います。
ただ、先ほど話したように今は住宅ローン控除制度が受けられ、なおかつ住宅ローン金利は超低金利時代なので、以前に比べるとかなり住宅ローンを組みやすい環境です。
以前は金利が変動金利で2%とか3%とか当たり前の時代で、住宅ローン控除なんていうのも無かったからですね。笑
他にも参考になりそうな記事を書いていますので住宅の購入を検討するに当たり是非目を通してみてください。