どーも、元銀行員のおしのです。(現ファイナンシャルプランナー)

今、住宅ローンを借りていて、一括返済をするかどうか悩んでいる人は多いと思います。
例えば、今年もしくは来年退職するので、その退職金で今ある住宅ローンを一括返済した方がいいんじゃないか、と思っている人など結構多いと思います。
銀行で働いていた時、退職金で一括返済するかどうか相談に来られる人はたくさんいましたからね。

みなさん、退職金を住宅ローンの一括返済に充てるかどうか迷っていると思いますが、個人的には、退職金を使って住宅ローンの一括返済をするなら、資産運用した方がいいと思っています。

今回はその理由を踏まえ
住宅ローン一括返済する代わりに資産運用した方がいい
って話を具体的にやっていきます。

退職金を住宅ローンの一括返済に充てない方がいい理由

①住宅ローンが元利均等返済であるため

退職金を住宅ローンの一括返済に充てない方がいい理由として、住宅ローンが元利均等返済方法という返済の方法を取っていることが一つ挙げられます。
元利均等返済方法というのは、簡単に言えば、返済が進むにつれて、毎月の返済額に占める利息の割合が減っていく返済方法のことです。

分かりやすくイメージを持ってもらうと、

ローンが始まって序盤の頃は、毎月返済額7万円の内訳が
(元金4万円、利息3万円)という内訳で、

ローンが終盤の頃には、毎月返済額7万円の内訳が
(元金6万5千円、利息5千円)という内訳になっているイメージです。

つまり、住宅ローンで一括返済をする場合は、早い段階ですればするほど一括返済の旨みが大きく、遅い段階ですればするほど旨みはあまり感じられなくなる、ということです。
ほとんどの方は住宅ローンのこういうカラクリに気付きません。

仮に、3000万円で金利1%で35年間住宅ローンを組んだとします。
この場合、35年間で支払う利息の合計は、5,567,733円(約557万円)です。

この利息のうち最初の10年間で支払う利息の合計
2,632,876円(約263万円)で、

最後の10年間で支払う利息は
たったの504,434円(約50万円)ほどです。

つまり、残り10年残して一括返済しようとしても、それまでの25年間で、利息の9割以上を(557万円のうち507万円)返し終わっているので、繰上返済をしたところで旨みがほとんどないとういうことです。

これが、退職金での一括返済を勧めない理由の一つです。

②一括返済をすることで団信がなくなる

理由の2つ目は、一括返済をすることで、加入している団体信用生命保険(通称:団信)がなくなることです。
団信というのは、万が一債務者(返済をしている人)が死亡したり、高度障害を負ったりした場合に、その時点で残っている住宅ローンを保険会社が代わりに一括返済してくれる保険です。

退職時の年齢が60歳で、残り住宅ローンが15年残っているとすると、無いに越したことはありませんが、その15年間で本人が死亡しないという保証はありません。
例えば1000万円一括返済した2~3年後に死亡する可能性も十分あります。
こういった場合、もし一括返済していなければ、住宅ローンの残り残高は団信によりゼロになり、退職金の多くを残された家族に残すことができたわけですが、一括返済をしていた場合、もちろん団信は無くなっているので、結果として家族に残せる資産が1000万円近く少なくなっているということになります。

60歳を超るといつ体にガタがきてもおかしくない年齢になります。
そういったことも踏まえて、わざわざ少ない残りの利息を浮かせるために一括返済をすることが賢い選択か、と考えた時個人的にはオススメできないということです。

③10年以上あれば投資信託でほったらかしにしていても利益が出ることが多い

10年以上の期間があれば、投資信託などでほったらかしにしていても利益が出ることが多いです。
運用できる期間が長ければ長いほど、運用で期待できる利益も大きくなります。
投資信託で損したことのあるという人もいますが、そういう人の特徴は、投資信託を始めて、下がった時に売ってしまった人です。
投資信託は波があるので、下がる時もあればもちろん上がる時もあります。
短い期間で利益を出そうとすればなかなか思うようにいかないことがありますが、5年、10年となってくると、その間ずっと下がりっぱなしという状況はそうそうないです。

どうしても気が進まないという人は、積立型の終身保険や一時払い終身保険をオススメします。

積立型の終身保険の場合は、イメージで言うと10年間保険料を積み立てれば、かならず積み立てた額以上になって戻ってくるようなタイプの保険です。学資保険のようなイメージを持ってもらえれば分かりやすいです。
もし、積立期間中に死亡してしまった場合は、死亡保険金もしっかり出るので、積立+死亡保険の役割を持つ内容の保険になります。

一時払い終身保険は、まとまった資金を持つ人におすすめの保険です。
こちらの保険は、まず最初に何百万円とまとまった資金を入れます。
10年などの据置期間が過ぎれば、いつ解約しても最初に投入した資金よりも必ず多くなってお金がかえってくる、という保険になります。
同じ10年間の期間で比較しても、積立型の終身保険よりも、一時払い終身保険の方が、利益率(返戻率)が高いです。

どちらの保険も、積立期間や据置期間(10年間など)のうちに保険を解約した場合、解約返戻金が払った保険料に対して割れて返ってきますので、ここだけ注意する必要があります。
逆を言うと、最初に定めた積立期間や据置期間の途中に解約しない限り、損することはありません。

どちらの保険にしても、100%増える積み立てをしながら(運用しながら)、ついでに自分が万が一死亡した場合の保険にも加入しておける、という一石二鳥型ともいえる保険になります。

投資信託に比べると運用利益は期待できませんが、リスクは全くとらず堅実に運用したいという人には良いと思います。
実際このタイプの保険は今もかなり人気ですね。

さいごに(おしののひとこと)

以上、退職金を住宅ローンの一括返済に充てるのはもったいないという話をしてきました。
もちろん、人それぞれ考え方があるので、正解はありませんが、正直、今回話したように退職金で一括返済をする旨みはあまりありません。
こういったことを踏まえて今一度検討されることをオススメします。