どーも、元銀行員のおしのです。

「住宅ローン控除って何ですか?話はよく聞くけど。」

銀行員時代、住宅ローンを担当していると、このように住宅ローン控除を良く知らないというお客さんが多かったので、そういった方のために今回は住宅ローン控除について出来るだけ分かりやすく話していきたいと思います。
正直住宅ローン控除を知らないとめちゃくちゃ損します。金額で言うと何百万円と損します。
住宅ローンを組んでいる人も、今後組む予定の人も損しない為に是非知っておいてほしい内容になります。
参考に国税庁のページを貼っておきますが、分かりづらいと思いますので、内容をかみ砕いていきます。
参考リンク(国税庁 住宅借入金等特別控除

住宅ローン控除とは

一般的には「住宅ローン控除」と簡略して言うことが多いですが、税務署や銀行では「住宅ローン借入金等特別控除」と言ったり「住宅ローン特別取得控除」と言ったりもします。まあ住宅ローン控除でいいです。
色々ネットの情報や雑誌では難しく言っていますが、住宅ローン控除を簡単に言うと

「住宅ローンを組んだ後10年間、年末の住宅ローン残高×1.0%のお金がもらえますよ」

って話です。具体的に例を出すと

(例)
平成29年に家を買い、住宅ローンを組みました。
平成29年12月31日に住宅ローンの借入残高が2000万円だった場合

2000万円×1%=20万円

この20万円がもらえますって話です。

これは住宅ローンを組んで1年目の話ですが、これが10年目まで同じように毎年もらえますよって話です。(厳密に言うと15年もらえる対象の人もいますが、これから住宅ローンを組む人は10年です。)
ただし、所得税<(年末住宅ローン残高×1%)の場合は所得税分までしかもらえません。
住宅ローン控除を受けるためには確定申告の時に手続をする必要があります。住宅ローン控除を知らない人たちはこの手続きをしないので、10年間にわたって毎年何十万円と損してしまうという話です。これはもったいないですよね。
ちなみにこれは、住宅の購入(新築、中古)だけでなく、住宅の増改築(リフォームなど)も対象になります。ただ、注意してほしいのは増改築は何が増改築に当たるか、何が増改築に当たらないかの線引きがあいまいな部分があるので、行う予定の工事が適用を受けられる増改築に当たるかどうかを前もって住宅業者や税務署等に確認しておいた方が無難です。
次は住宅ローン控除を受けるための要件についてですね。

住宅ローン控除を受けるための要件(新築、未使用物件購入時)

①住宅を取得してから6か月以内に住んでいること。そして住み続けていること

ちょっと詳しく言うと、「住宅ローンを組んだ後、6か月以内に購入物件に住み始めて、その年の12月31日まできちんと住んでいればその年度は住宅ローン控除が受けられますよ」ということです。
下に例を記載しているので何となくイメージを掴んでもらえれば大丈夫です。

【例1】

(1)平成29年4月1日 住宅取得
(2)平成29年6月1日 引越し、居住開始
(3)平成29年12月31日 居住中

この場合、この年度の住宅ローン控除が受けれます。

【例2】

(1)平成29年4月1日 住宅取得
(2)平成29年11月1日 引越し、居住開始
(3)平成29年12月31日 居住中

この場合、住宅取得から6か月以内に居住開始をしていないので、この年度は住宅ローン控除が受けれません。

【例3】

(1)平成29年4月1日 住宅取得
(2)平成29年6月1日 引越し、居住開始
(3)平成29年12月1日 別の家へ引越し
(4)平成29年12月31日 居住していない

この場合、6月1日に居住開始していますが、途中でさらに引っ越しをして12月31日まで居住していないので住宅ローン控除が受けられません。

②合計所得が3000万円以下であること

これは「住宅ローン控除を受けたい年度の合計所得が3000万円より大きい場合は、住宅ローン控除を受けられないですよ」とそのままの意味ですね。

③購入した家の床の面積が50㎡以上あること。そしてその家の床面積の2分の1以上は居住用に利用すること。

これはもう少しかみ砕くと、購入した家の床面積が50㎡以上あって、かつその面積の半分以上はきちんと生活するために使ってくださいよということです。
例えば、買った家の3分の2のスペースを使ってお店を経営し始めた場合などは、居住用のスペースは残りの3分の1しかないので住宅ローン控除は受けられませんよということです。

④10年以上ローンを組むこと

例えば住宅ローンを5年ローンで組むなどした場合は住宅ローン控除は受けられません。

⑤住宅を取得した年を含めて前後2年間のうちに住宅を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例を受けていないこと。

かなり原文に近い形で書きましたので、分かりづらいと思います。
簡単に言うと、住宅を取得した年とその前後2年間の合計5年間のうちに、住宅を売却した場合は住宅ローン控除が受けられない可能性がありますよ、ということです。
この項目に限っては詳しく話すと難しくなるので、上記の5年間のうちに住宅を売る時は注意が必要だなという認識だけとりあえず持っていれば十分です。

住宅ローンを受けるための要件(中古住宅購入時)

中古住宅購入時は、上記の新築時の5つの要件に加えて4つ要件があります。

①建築後使用されたものであること。

これは文字の通り中古物件であるということです。

②次のいずれかの住宅であること

(ア)耐火建築物の場合、取得の日以前25年のうちに建築されたものであること。
(イ)耐火建築でない場合(一般的な木造建築など)、取得の日以前20年のうちに建築されたものであること。
(ウ)上の(ア)、(イ)に該当しないような場合(耐火建築物だけど26年経過しているなど)、一定の耐震基準が満たされているもの。

中古物件購入時、住宅業者にはこれらのことも踏まえて、住宅ローン控除対象物件かどうかきちんと確認しましょう。

③住宅を取得する時に生計を同一にしていて、取得後も引き続き生計を同一にする親族や特別な関係のある者(事実婚の相手など)等からの取得でないこと

基本的に生計を同一にしている親族から住宅を購入する時は適用されないですよ、ということです。生計を同一にしていなければ住宅ローン控除は受けられますが、親族等から購入する可能性がある人は、そういえば何かあったなあと頭の片隅にでも入れておいていただければ大丈夫です。
④贈与による取得でないこと。
もらった住宅では住宅ローン控除は受けられませんよということです。

住宅ローン控除を受けるための要件(増改築時)

上記の新築時の5つの要件に加えて2つあります。

①対象の増改築等の工事であること

これは様々なパターンがあるので増改築時に、住宅ローン控除が受けられる内容の工事かどうかを業者、税務署等に確認しておきましょう。

②工事費用の額が100万円以上であること。また、店舗併用住宅などの場合、工事費用の2分の1以上は居住部分の費用であること

100万円より少ない金額の工事費用であれば認められません。また、家でお店などを経営している人は、工事費用の2分の1以上が店舗経営部分に使われる場合は住宅ローン控除が受けられないですよ、ということになります。

住宅ローン控除の注意事項

①住宅ローン控除は住宅を取得した年によって控除のルールが少し変わる

一番最初に「住宅ローンを組んだ後10年間、年末の住宅ローン残高×1.0%のお金がもらえますよ」と簡単に言いましたが、厳密に言えばその内容が、住宅を取得した年によって適用される住宅ローン控除の内容が変わります。
国税庁が提供するページの「3 住宅借入金等特別控除の控除期間及び控除額の計算方法」の部分でそれぞれ確認いただくのが一番ですが、
例えば、
平成21年1月1日から平成22年12月31日の間に住宅を取得している人であれば
住宅ローン年末残高×1%(控除限度額50万円)で10年間住宅ローン控除を受けることが出来ます。
控除限度額というのは最大でもらえる金額と解釈してもらって大丈夫です。
ただし前にも述べましたが、確定申告時、申告する所得税が40万円の人であれば、年末ローン残高5000万円×1%=50万円(限度額)だとしても所得税分の40万円までしかもらえません。

ちなみに平成19年1月1日から平成20年12月31日までに住宅ローンを取得した人であれば、15年間控除を受けられる人もいます。
これから住宅ローンを組まれる予定の方は、

住宅ローン年末残高×1%(控除限度額40万円)

10年間住宅ローン控除を受けることが出来ます。

今住宅ローンを持っていて住宅ローン控除を受けていないという人は上記の国税庁のリンクから入って、「3 住宅借入金等特別控除の控除期間及び控除額の計算方法」の表の部分で是非確認されてください。

②借換をすることで住宅ローン控除がリセットされる訳ではない

たまにお客さんから「住宅ローンを借換したらまた新しく10年間控除が受けられるようになるんですか」と質問を受けることがありましたが、これは違います。
借換をしても新しく控除期間がリセットされる訳ではありません。
控除期間はあくまで当初住宅取得時から計算した期間になります。

住宅ローン控除をお得に使う小ワザ?

住宅は年末に購入するのがお得?

住宅ローン控除は、「12月31日時点の住宅ローンの借入残高×1%」になりますので、例えば

(例1)
(ア)平成29年2月1日に2500万円の住宅ローンを組みました。
(イ)平成29年12月31日の借入残高が約2400万円になっていました。(2月から12月31日まで毎月のローン返済が行われてきた分、年末のローン残高が減っている状態)
(ウ)2400万円×1%=24万円(控除額)

(例2)
(ア)平成28年12月1日に2500万円の住宅ローンを組みました。
(イ)平成28年12月31日の借入残高は約2490万円でした。(返済がまだほとんどされていないので、年末のローン残高があまり減っていない状態)
(ウ)2490万円×1%=24万9千円(控除額)

(例2)は(例1)よりも控除額を9千円得しているということになります。少しだけ年末に住宅を取得した方が控除額はお得ですね。
ただし、思うようにいかないことも(新築の場合着工が遅れている、中古の場合早く購入しないと他の人に購入されるなど)多いので、できればという程度で、そこまでこだわる必要はないのかなと個人的には思います。

さいごに(おしののひとこと)

以上、できるだけ内容をかみ砕いて説明したつもりでしたが、分かりづらいところも多々あったかもしれません。
住宅ローン控除は国が行っている景気対策の一環です。
景気の雲行きが怪しかったり、消費税の増税がされたりなどで住宅の購入に歯止めがかかるのを防ごうとする役割を持っています。
「住宅ローン組んだ人の10年間の利息分くらいは面倒見てあげるから、皆家買ってね」という政策です。
住宅の購入を検討してる人も、今住宅ローンを持ってて使える状況なのに使っていないという人も必ず使うようにしてくださいね。でないとかなりもったいないことが起きてしまいますので。
うーん、それでも意外と知らない人、忘れてたって人は多いんだよなあ。。。