どーも、元銀行員のおしのです。
「公務員だと金利優遇を受けられるって聞いたんだけど、ほんと?」
と今までお客さんから質問を受けたことが何度かあります。
住宅ローンについてよく知らない方でも、公務員はローンを組む時にかなり有利になるという話を知っている人は多いです。
今回は元銀行員としてその噂?(笑)について公務員の方の参考になる情報とともに話していきたいと思います。
公務員は住宅ローンで金利優遇を受けられる?
最初に結論から言うと、現在では公務員だからといって特別に一般の方よりも金利が安くなったりすることはありません。
以前は公務員の専用住宅ローンを提供する銀行がありましたが、現在ではそのようなローンをどこも取り扱っていません。
というのも現在、超低金利時代と言われるほど住宅ローンの金利が低く、言ってしまえばこれ以上住宅ローンの金利を下げてしまうと銀行の儲けが期待できなくなるからだと考えられます。
そのため現在では公務員の方であっても、一般の方と同じ金利で住宅ローンを組むことになります。
公務員は信用力最強!
とはいってもやっぱり公務員の信用力はいまだ最強です。
元銀行員の立場から言わせてもらうと、公務員の方が住宅ローンの相談に来た時って、間違いなく銀行の担当者は心の中で「ガッツポーズ」しています。
それくらい公務員っていうブランドには絶大なる信用力があって、住宅ローンの審査に通りやすいです。
担当者には住宅ローンのノルマがあるのでたくさんお客さんに融資しなければいけないんですが、ローンの申込をしてもらっても審査が通らないお客さんも少なくないんですよね。
そんな中、基本的に審査に落ちることが少ない公務員はいわゆる神客です。
公務員の信用力を支えるものは大きく次の3点です。
①安定
公務員の場合、給料が下がったり、リストラされたりすることはありません。
終身雇用で退職まで安定して働くことのできる職業です。
そのため住宅ローンのように何十年と長期の融資であっても、きちんとした返済が見込めるというこの安定さが大きなポイントになります。
②高収入
公務員の方は年収が、一般の方の平均年収よりも高いです。
特に年齢が上がるほど年収は上がっていきますので、融資をする側としては安心してお金を貸すことができます。
ボーナスの額も安定して多いので、ボーナス返済にも対応できます。
企業の場合、大きい会社ならともかく、小さい会社の場合はボーナスが安定してもらえないようなところもたくさんありますからね。
こういったところは審査をする上でのポイントの一つです。
③退職金が多い
公務員が最もその真価を発揮するのは、おそらくその退職時でしょう。
公務員の退職金は一般の企業では考えられないくらい高額です。
そのため公務員の多くは、退職時に住宅ローンの一括返済をします。
こういった退職金の多さは、いざという時は退職金があるという信頼につながりますので、一つの大きなポイントだと言えます。
ただし、次のような場合では審査が通らないこともある
以上話しましたように、公務員の信用力は絶大ですが、次のような場合審査が通らないこともあるので注意しましょう。
①信用情報に傷をつける
一番やってはいけないのがこれです。信用情報に傷をつけるようなことをやってしまうと、公務員とはいえ審査で厳しく見られるようになり、通らない可能性もグッと高まります。
具体的には、「延滞」です。
マイカーローンやフリーローン、クレジットカードの延滞はもちろん、携帯電話の毎月の料金(機種代金分割払いの場合)の延滞も信用情報に傷をつけることになります。
特に多いのが、毎月の支払いを口座引落にしておいて、前日までにお金を口座に入れておくのを忘れてしまうことです。
引落日当日に、お金を入れていなかったことに気付いてすぐに口座に入れたとしても「1回の延滞」として数えられますので、必ず前日までに口座に入金しておくようにしましょう。
②住宅ローンの他にローンの借り入れが多い
また、住宅ローンの他にたくさんお金を借りている場合は審査が通らないことがあります。
具体的には借入のローン(カードローン、リボ払い含む)の年間の合計返済額が、年収の35%以内になるようであれば大丈夫です。
例えば
【新しく組む予定の住宅ローンの年間返済額】
120万円
【借入中のマイカーローンの年間返済額】
30万円
だとすれば、合計年間返済額は150万円になります。
本人の年収が500万円だとすれば、
150万円÷500万円=30%となり、
この人の返済比率は30%ということになります。
先ほど話したように、この返済比率が35%以内であれば大丈夫ですが、35%を超えてくるような場合は、既存のローンを一括返済したり、住宅ローンの申込金額を減らしたりする必要があります。
公務員の方にはフラット35よりも変動金利をオススメする理由
元銀行員としてアドバイスすると、公務員の方にはフラット35よりも変動金利をオススメします。
現在最も低いネット銀行の住宅ローン変動金利で0.5%程度、フラット35だと大体1.5%程度です。
仮に3000万円を金利0.5%で35年間借りるとしたら、35年間でかかる利息は約270万円です。
これが金利1.5%で35年間借りるとしたら、35年間でかかる利息は約860万円です。
その差は約600万円もあります。
ここで、「0.5%と言っても変動金利だから金利上昇のリスクがあるじゃないですか!」と思われる方もいると思います。
はい、その通りで確かに金利上昇のリスクはあります。ただし、変動金利は皆さんがイメージするようにガンガン金利が上がるモノでもありません。
実際過去25年間の間たくさん金利が下がることがあっても、大きく金利が上がったことはありません。
上がったとしてもほんの少しの金利上昇です。過去25年間の間にたくさん景気の波があったにも関わらずです。
変動金利で組んでいる方も多いわけですから、一気に金利を上げるとそういった方たちの家計の負担がすごいことになりますから、そんなにガンガン金利を上げるのは現実的じゃないんですよね。
そして公務員の方たちは退職のタイミングで、退職金により残っている住宅ローンの一括返済をすることができます。
そのため35年返済で住宅ローンを組んではいるが、実質的にはローンを組んだ時から退職時までの期間しかローンを組まないことになります。
組んでいる期間が短い分、35年間組んでいる人に比べて金利上昇時のリスクは減ります。
反対に言えば、25年間組んでいる人と35年間組んでいる人だったら、35年間組んでいる人の方が10年間分金利上昇のリスクがあります。
先ほど変動金利の0.5%とフラット35の1.5%の金利を比較した時、同じ3000万円を借りても35年間で利息の差が約600万円あると話しました。
もし仮に35年のうち10年残して一括返済を行う場合、単純に計算して、
25年間の間に少なくとも変動金利(0.5%)が1.5%以上に上がらない限りはその利息の差を埋めることはできません。
しかもそれは25年のうちの序盤に金利がガンガン上がらなければ、フラット35の旨みはありません。
例えば、最初の20年間は1.5%以下の金利で推移していて、残りの5年間のうちに1.5%以上に金利が上昇したとしても、それまでの低い金利で得した分の金利差を残りの5年間で埋めることは出来ませんよね。
こういったことから考えていくと、公務員の方の場合は特に、返済期間の途中で退職金による一括返済ができるわけですから、わざわざ35年間分のリスクを見込んだ金利で借りる必要が無い訳です。
そのため公務員の方はフラット35よりも、金利の低い変動金利を選んでおくことをオススメしているということです。
ちょっと分かりづらい部分もあったかと思いますが、なんとなく分かってもらえれば幸いです。
ぜひ参考にしてみてください。