どーも、おしのと申します。
今回はタイトルにもあるようにずばり

「住宅ローンは一括返済するべきかどうか」

について話していきたいと思います。(※「一括返済」と書いていますが、「一部返済」を検討中の方も同じように参考になる記事になっています。)
ちなみに一括返済は、一括繰上返済だったり全額繰上返済だったり言い方が別にもありますがどれも同じ意味です。
というのも銀行員時代、住宅ローンのお客さんの相談でかなり多くの相談を受けていたのがこの話だからです。一括返済の相談を受けない日は記憶に無い位多かったですね。
住宅ローンは家計の支出の中で一番大きいので、皆さん出来れば早く返済してスッキリさせたいという気持ちを持っています。
今一括返済をちょうど検討されている方はおそらく退職間近の方ではないでしょうか。
皆さんが住宅ローンの一括返済を考えるタイミングは多くの場合、退職金が入ってくる時です。(宝くじが当たったという理由で一括返済された方もいましたが。笑)
大きなまとまったお金が入るので、住宅ローンの返済を早く終わらせて退職後住宅ローンの心配をしないようにしようということで検討されます。
ただ、一括返済をするとその分手持ちのお金も減ってしまうので、返済するべきかどうか悩む、という人が多いですね。
そこで、実際住宅ローンは一括返済したほうが良いのかどうか、銀行で住宅ローンの担当をしていた私が、私ならどうするかという視点で話していきます。

住宅ローン一括返済のメリット

まず住宅ローン一括返済のメリットについてです。

①利息を支払わずに済む

これが何と言っても一括返済の一番のメリットです。
住宅ローンを一括返済するとそれ以降は利息を払わなくて済むので、家計の支出を抑えることが出来ます。
このメリットは一般的に知られていることが多いですが、実際にどのくらい利息が浮くのかまでイメージできている方は少ないです。もしご存知の方は素晴らしいと思います。
あるモデルケースを例にとってお話しします。

(例)
60歳男性
残債務1000万円
残期間15年
借入中の金利1.5%

という方がいるとします。
この方がもしこのまま15年間返済を続けていくとすると、15年間でかかる利息の合計額は約115万円です。
つまりこのタイミングで一括返済をすると約115万円の利息を支払わなくて済むということになります。
単純計算で、年間約7.7万円、月で言うと約6400円かかってくる利息を支払わなくて済むイメージを持ってもらえればいいかなと思います。
言い換えると一括返済をすることで今後15年間で、約115万円貯金が出来るということです。
これは老後の貯金の不安を抱えている方にとっては大きなポイントだと思います。
もちろん人それぞれ残債務、金利等状況は違うと思いますが、借入期間、残債務、金利が大きくなればなるほど将来かかってくる利息は大きくなります。

②毎月の支払いという重圧から解放される

たくさんの相談をいただいた方で、退職後は年金生活になるので毎月住宅ローンを支払っていると、段々貯金を圧迫してきているかのような重圧感を感じると言う方が多かったです。
支払っている以上はお金の入れ忘れによる延滞のリスクもあります。(特にメインの銀行と住宅ローン借入銀行を別にしている人)
一括返済をすることでそれ以降は毎月口座から引き落とされていくこともなくなるので、そういった重圧感から解放されるというメリットがあります。
また、まとまったお金を入れている、お金が入ってくるメインの銀行と住宅ローンを組んでいる銀行を別にしていて、住宅ローンの返済のためにメインの銀行から都度お金を移動させているという人であれば、そういった手間暇も考えなくてよくなります。

この2点が住宅ローン一括返済のメリットです。

住宅ローン一括返済のデメリット

次に住宅ローン一括返済のデメリットについてです。

①団体信用生命保険(以下、団信)が無くなる

まず一括返済によるデメリットと言えばこの団信が無くなることが一番大きいです。
団信とは住宅ローンを借りている人(以下、債務者)の死亡または所定の高度障害になったとき、残っている住宅ローンの残債(残っている住宅ローン残高)を債務者の代わりに保険金で一括返済してくれる保険です。
そして通常団信の保険料は銀行が負担しています。
なので、債務者が万が一死亡したり、所定の高度障害になったりしても残された家族は安心できるというものです。
住宅ローンを組んでいる方ならほとんどの方がこの団信に加入しています。(フラット35などで団信なしの住宅ローンを組んでいる方も中にいますが)
例えば先ほどの例で言うと残債が1000万円の人が万が一死亡してしまった時は、団信の適用により残債が一括返済されてゼロになります。言い換えると債務者が無くなった時、1000万円の保険金が下りてくるというイメージです。
これがもし一括返済をした1年後に本人が病気や事故で亡くなってしまった場合は、手持ちの1000万円を使って1年前に一括返済をしたことがすごくもったいなかったと考えることが出来ます。

住宅ローン年末取得控除期間内(当初住宅購入時の住宅ローン契約から10年以内、条件によっては15年以内)の人であれば住宅ローン年末取得控除期間が終わるのを待つかどうかや、さらに細かいことを言えば一括返済によりかかる手数料約2万円~4万円の考慮などありますが、正直それらのことは大きな問題ではないです。この①で話した団信の適用について押さえておけば、デメリットポイントについては特に問題ないと思います。

ぶっちゃけどっちがいいの?

各個人で資産等状況が違うので一概に言えないことは確かなのですが、私なら一括返済は行わずに資産を運用していきます。
借入中は団信があるので例え毎月支払っていようとも、万が一のことがあれば残された家族に住宅ローンの債務が残ることはありません。特にそれが、がん団信(死亡、高度障害に加え、がんになった時も団信が適用される)等通常の団信より手厚い団信に入っていれば尚更一括返済は行わないです。今やがんは2人に1人が発症する病気です。
そして言い方が悪いですが、その残債が大きいほど万が一の時はその分下りてくる保険金(一括返済される残債)も大きくなるので得です。
反対に残債が少なければどうかということについては、少額であればあるほどかかる利息もその分少額になるので一括返済をするメリットは小さくなります。
私なら住宅ローンを借りている間の利息については保険料を支払っているということで割り切ります。
死亡保険に入っている人が保険料勿体ないからといって保険を解約することは少ないですが、こと住宅ローンの返済においてその考えをする方は非常に少ないです。保険料が利息という名前に代わっているだけで、実際的な内容は非常に似たものです。
そして退職金の一部を株や投資信託、一時払い終身保険等で運用します。(運用に慣れていない、運用が怖いという方は株はやらずに投資信託や一時払い終身保険等の方がいいです。)

以上住宅ローンの一括返済をすべきかどうか私見も含めて話してきました。一括返済をすべきかどうかについて絶対的な正解はありません。
あくまで私ならということですが、そういった私の個人的な意見も踏まえて色々参考にしてみてください。