どーも、おしのです。

お客さんからよく「個人事業主だから住宅ローンって組みにくいですよね。」と相談を受けることがありました。
どうも個人事業主は、住宅ローンが組みにくいというイメージが世間的には強いみたいです。

今回はそのイメージを払拭するために元銀行員の立場から、個人事業主の住宅ローンを組む時のポイントを話したいと思います。

個人事業主の方が住宅ローンを組むためのポイント

①銀行の住宅ローンを組む場合は2年以上、フラット35の場合は1年以上利益が出ていること

銀行の住宅ローンを組む場合は2年以上、フラット35を組む場合は1年以上利益がでていることがポイントです。

私が働いていた銀行では、最低3期分の確定申告書が必要だと決められていたんですが、「意見書」というモノを使って、審査部、保証会社に対して、担当が意見を書いて提出することができました。
審査を通すまでは

銀行の住宅ローン担当者 VS 審査部・保証会社

ですからね。

私もそうでしたが、住宅ローン担当者はノルマがあるので審査を通そうと必死です。
銀行内部の規定で「最低3期分の確定申告書が必要」だと決められていようとも、「意見書」を書いて、審査部や保証会社を納得させて審査を通すというのは日常茶飯事のことです。

同業者の話を聞く限り、どこの銀行の担当者も似たり寄ったりのことをやっていますね。
なので、理想は3期分の確定申告書があった方がいいですが、個人事業主の方で2年以上利益が出ていれば、十分審査のテーブルに乗せることができます。
3年目まで右肩上がりで利益が伸ばせればよいですが、2年目まで調子が良くて、3年目で少しコケてしまったような場合もありますからね。
利益が順調なうちに相談に行くことは大切だと、元銀行の住宅ローン担当者としては感じます。

一方、フラット35の場合は、審査がかなり軽くなり、少なくとも直近1年間利益を出せていれば審査を通すことは十分できます。

どちらの場合にしても年間所得は最低300万円はほしいところです。
ここでいう所得は確定申告書Bの9番に当たる所得のことで、年間収入から経費を差し引いた金額のことです。
個人事業主の方によくあるのは、税金を抑えるために経費を出しすぎて年間所得が100万円~200万円ほどになっている場合です。

これだと年間所得が300万円に満たないので、住宅ローンを組むのは正直厳しくなります。
税金を抑えたい気持ちは十分わかりますが、それによって住宅ローンを組めない人もたくさん見てきました。
住宅ローンを検討する場合は、最低でも経費を差し引いた年間所得が300万円以上になるように心がけましょう。

②信用情報を傷つけない(延滞しない)

これは個人事業主の方に限った話ではないですが、現在ローンを組んでいたり、クレジットカードの支払いがあったりする人は、延滞しないように気を付けてください。
携帯電話の支払い忘れも同じように信用情報に傷がつきます。公共料金や税金の支払い忘れで、すぐ収める分については大丈夫です。

過去3年間のうち1回も無いのがベストですが、何回もやってしまっている場合は審査を通すのが難しくなってきます。
返済日に口座にお金を入れ忘れていて、すぐに気づいて当日に入れても1回の延滞としてみなされるので注意してください。

一番マズイ延滞の仕方は2か月、3か月と連続で延滞することや、過去3年間のうちに何回も延滞することです。
ここら辺やっちゃうとかなり審査では厳しく見られるようになります。

年収が1000万以上あるような人でも信用情報ボロボロだと審査通せないこと多いですからね。ぜひ気を付けてほしいです。

ただ、信用情報にキズがあっても絶対通せないわけではないので、とりあえず審査に出してみることが大切です。

③頭金を可能な限り出す

年間所得がたとえ高くなくても、頭金を多く出すことができれば住宅ローンは組みやすくなります。
頭金をどのくらい用意すれば通せやすいかの目安はありませんが、「出せれば出せるほどいい」といった感じです。
銀行担当者としては頭金が多ければ審査を通すための組み立てがしやすいです。

ただ、もし他に現在車のローンなど他のローンの返済がある場合は、「返済比率」を考慮して他のローンの一括返済のために、その頭金を使った方がいい場合もあります。
「返済比率」というのは、年間所得(経費差し引き後)に対する、年間合計ローン返済額の割合のことを差します。

例えば年間所得が400万円だとして、マイカーローンで年間50万円の返済、新しく組む住宅ローンの年間返済予定額が100万円だとします。

マイカーローン年間返済+住宅ローン年間返済=150万円

ローン年間合計返済÷年間所得=返済比率なので

150万円÷400万円=37.5%

この場合、返済比率は37.5%となります。

住宅ローンは基本的に、この「返済比率が30%以内」になるように組む必要があります。

上の例では返済比率が37.5%となっているので、年間所得を増やす(来年度以降に組む)、住宅ローン借入額を減らす、他のローンを一括返済もしくは一部返済する、などの方法により返済比率を下げていく必要があります。

ただし年間所得が500万円以上あればこの返済比率が40%までは認める、とするような銀行もあります。
これらは銀行毎に決められていて公には出されていない数値なのであくまで目安になります。

私が働いていた銀行もそうでしたが、返済比率が30%以内に収まれば基本的にはどこの銀行も大丈夫です。

住宅ローンで借入できる金額の目安

住宅ローンで借り入れることのできる金額は、基本的に「年収×7倍」が目安です。
銀行によっては年収×6倍のところもあったり、年収×8倍のところもあると思いますが、平均すると「年収×7倍」が目安になります。

なので年収300万円の人ならば300万円×7=2100万円となり、借入限度額は2100万円ということになります。

おわりに(おしののひとこと)

「個人事業主は住宅ローンが組みにくい!」とよく言われますが、元銀行員の立場で言うなら特にそんなことは無く、今日挙げたようなポイントさえ押さえていれば基本的に審査を通せる自信はあります。
逆にこれらのポイントが押さえられていなければ、会社員だとろうと審査を通すのに苦労します。
一番大切なのは、初めから通らないと思い込まずに、とりあえず一度相談して、審査してみることです。

ぜひ参考にしてみてください。