どーも、おしのです。
今回は、よく皆さんが家を購入するときに悩む、
「頭金(自己資金)をどれくらい入れた方がよいのか」
という話です。
「やっぱり頭金は多ければ多いほどいいの?」とか「頭金として用意できるお金ほとんどないけど大丈夫かな」などと考える人が多いですが、
住宅ローンのプロとしての私の立場から言わせてもらうと、ハッキリ言って
住宅ローンを組む時、頭金を入れる必要はありません。
これまで何百人というお客さんの住宅ローンの申込を今まで扱ってきましたが、皆さん頭金を入れる時、何となくで頭金を入れています。
「何となく頭金を入れといた方がいいのかな」だとか
「フルローンは何となく嫌だから頭金を入れとこうかな」などのように正直あまり考えずに頭金を入れる人がほとんどです。
住宅ローンなんて生涯ほとんどの人が1回しか組まないので、経験も無く、イメージもあまりわかないのです。
だから「何となく周りの知人も頭金入れてたから、自分も入れておこう」といったあいまいな決定になってしまうのです。
よく「半額だから買う」とか普段の買い物で家計を気にしたりするのに、住宅ローンについては、よく分からないから「周りもそうしてるみたいだし自分も」などと簡単に頭金を何百万と入れる人がたくさんいるんですよね。
ただ、僕から言わせてもらうと、住宅ローンを組むってのは、一生のうち一番大きな買い物をするという、家計的にも最も大切と言っていいイベントであって、そんな大切なイベントだからこそ、何となくで決めるのではなくて、しっかり考えて選択するのが大事です。
どうして頭金を入れなくていいの?
では、どうして頭金を入れなくていいの?という本題に入ります。
住宅ローンで頭金を入れなくていい理由は主に2つあります。
それは、
①住宅ローンが低金利時代である
②住宅ローン控除がある
この2点です。
今は変動金利で低い銀行で0.6%、
短期間固定金利(10年固定金利など)で1.0%程度、
全期間固定金利(35年固定金利)などで1.5%程度です。
頭金を入れればそれだけ利息が安くなると思ったり、毎月返済額が減ったりすると考える人もいると思います。
利息に付いては、今は金利が低いので昔のようにドンドンついていく訳ではありません。
200万円に対して変動金利の場合、1年間で12,000円、一番高い全期間固定金利でも30,000円程度の金利しか尽きません。
また、3000万円の住宅ローンを金利1.5%で35年返済で組む時と、自己資金を200万円入れた2800万円で組む時、
毎月返済額は、
3000万→毎月返済額91,855円(ボーナス返済なし)
2800万→毎月返済額85,731円(ボーナス返済なし)
となり、仮に200万円の頭金を入れても、その毎月返済額の差は約6,000円ほどしか変わりません。
これらのように、金利が低い現在では、多少頭金を入れたところで、利息や毎月返済額の負担が大きく減るわけでもないということです。
また、これに加えて大きなポイントとして、2つ目の理由として挙げている、住宅ローン控除の話があります。
今、住宅ローンを組む人にとって大きな味方、「住宅ローン控除」という制度があります。
これは、住宅購入が低迷している背景をもとに、政府が消費者の住宅購入を促す目的で始めた制度です。
簡単に言うと、10年間にわたって、毎年12月31日の住宅ローン残高の1%のお金が、国から支給されるという制度です。
例えば、
平成29年1月に、3000万円の住宅ローンを組んだとします。その後返済が進み、
平成29年12月31日の住宅ローン残高が2950万円だとします。
この場合、2950万円×1%=29.5万円
となり、この29.5万円が国から支給されるという話になります。
(厳密に言うとこの金額から減る場合もあります。住宅ローン控除については、もっと詳しく別記事でも書いていますのでそちらも参考にしてみてください。参考:住宅ローン控除の話)
つまり、もし200万円の頭金を最初に入れていた場合、単純計算で
(2950万円-200万円)×1%=27.5万円
となり、頭金を入れなかった場合の29.5万円に対して、2万円ほどもらえる金額が減ってしまうという話になります。
先ほど、200万円に対して全期間固定金利(金利1.5%)の場合、年間で付く利息は、単純計算で約3万円と話しました。
利息の3万円は、この住宅ローン控除の2万円と差し引きすることにより、1万円の差しかなくなります。
つまり、200万円の頭金を入れても年間で1万円の差しかないということです。
ましてや変動金利(金利0.6%)の場合、200万円に対して年間に付く利息は12000円です。
住宅ローン控除で支給される金額は2万円です。
12,000円と2万円を比較した時、頭金を入れた場合の方が年間で8000円損してしまう、ということが起きてしまうんです。
200万円を頭金に入れるくらいなら、35年間という長い時間を使ってリスクの少ない投資信託や積立保険に入れるなどして、じっくり資産運用していった方がまだマシだと思います。
もしくは、住宅ローン控除の期間10年間が終わった後に、その200万円を住宅ローンの一部繰上返済に当てるといった方法もアリだと思います。
手元に200万円あるということは、急に資金が必要になった場合など、いざという時の備えとしておくこともできます。
さいごに(おしののひとこと)
以上話してきたように、個人的には「住宅ローンで頭金は入れない方がいい」と思っています。
今まで私が対応してきたお客さんにはそういった情報も与えて、後悔しない選択をしてもらうようにしてきました。
実際この話をするとほとんどの人は、頭金を入れないという選択をするんですけど。(苦笑)
ただこういった選択ができるのは、今が
「金利が低く、住宅ローン控除がある」という素晴らしいタイミングであることに他なりません。
ハッキリ言って、ものすごく住宅ローンを組む上で恵まれた状況なんですよね。
10年以上前であれば、間違いなくこういった話はお客さんにはしてなかったと思いますし。
一番大切なのは、一生のうち一番大きな買い物だからこそ、周りに流されず、自分で考えてから選択することだと思います。
是非参考になればと思います。
byおしの