どーも、元銀行員のおしのです。(現在独立)

「住宅ローンの金利ってどんな時に上がったり下がったりするの?」

「今後は住宅ローンの金利は上がるの?」

など、銀行員時代から今に至るまで、たまにお客さんから聞かれることがあります。

知っている方は当然と思われるかもしれませんが、今回もできるだけ初心者向けに分かりやすく話していきたいと思います。

では、早速いきましょう。

住宅ローンの金利はどういう時に上がるの?

住宅ローンの金利、すなわち金融機関が融資するときの金利というのは、市場の状況や景気の動向によって上がったり下がったりします。
結論から言うと、住宅ローンの金利は基本的に、景気が良くなれば上がります。

この金利の変動を調節しているのは日本銀行、すなわち日銀です。

日銀は「銀行の銀行」としての役割があります。

皆さんが普段利用する銀行のことを、総称して「市中銀行」と言いますが、市中銀行は、日銀から借りたお金を使って個人や企業にお金を貸したりしています。
もちろん、日銀からお金を借りるので、その融資金(借りたお金)に対して金利が付きます。
そのため、融資金に対する利息を市中銀行は、日銀に収めなければなりません。
しかし、日銀から借りたお金を使って、個人や企業に対してさらに高い金利をつけてお金を貸す(融資)するので、市中銀行は儲けられるという仕組みになっています。(下図参考)

この時、日銀は、市中銀行に融資する時の金利(図でいうところの0.5%の金利)を上げたり下げたりすることで、景気を調節しています。

日銀が金利を下げれば、市中銀行としてはお金を借りやすくなるので、低い金利でたくさんお金を借りて、その分色んな個人や企業に、低い金利でお金を貸すことができるようになります。
市中銀行が低い金利で融資を提供するようになると、企業や個人もまたお金を借りやすくなるので、お金を借りる人が増えます。
結果として、個人や企業にお金が渡っていけば、消費がより促進されて経済が活性化するので、景気を良くさせることになります。

反対に、日銀が金利を上げれば、市中銀行としてはお金を借りにくくなります。
市中銀行もまた、高い金利で企業や個人に融資を提供するようになり、結果としてお金を借りたい企業や個人が減ります。
そうすると、市場にお金が出回らなくなるので、消費が促進されず、景気に対して歯止めがかけられることになります。

この金利の調節を上手く利用して、日銀は、不景気の時は景気を良くするために金利を下げ、景気が良い時はあまり景気が過熱しすぎないように金利を上げて歯止めをかける、ということです。

住宅ローン金利も同じで、金利が低ければ家を買おうと思う人が増え、金利が高ければ家の買おうとする人は減ることになります。
そのため、不景気の時には住宅ローン金利が下がり、景気の良い時には住宅ローン金利が上がるということです。

現在の住宅ローン低金利時代について

現在、住宅ローンは空前の低金利時代です。
変動金利でいえば一番低い銀行では金利0.5%を切っていますし、35年固定金利でも1.5%程度です。
今後これほどまで金利が下がることはおそらくないと思います。
というかこれ以上金利を下げてしまうと、銀行としては利益を出すのが難しくなってくるでしょうしね。

実際私がいた銀行も含め、多くの銀行では現在、利益率の低い住宅ローンよりも、金利が高く利益率の高い、消費者ローン(フリーローンなど)に力を入れて推進するようになっています。

逆に言うと、もし住宅の購入を検討している人なら本当に良いタイミングで住宅ローンが組めると思います。

ぶっちゃけこれから住宅ローン金利は上がるの?下がるの?

よく聞かれる質問で、「ぶっちゃけ住宅ローンの金利ってこれから上がるの?」というものがあります。

個人的な意見ですが、住宅ローン金利はこれから上がっていくと思います。
金利が上がらないにしても、住宅ローンを組む上で今ほど良い状況ではなくなると思います。
理由は大きく4つあります。

①2020年に東京オリンピックを控えている
②日銀がインフレ2%を目標に金融政策を行っている
③2019年に消費税増税を控えている
④住宅ローン控除がなくなる可能性がある

①2020年に東京オリンピックを控えている

まず一つ目は、2020年に東京オリンピックを控えていることが挙げられます。
オリンピックによる経済効果というのはかなりのものになります。
リニアの開発など交通網の発展、インフラ事業の益々の発展、訪日外国人の増加、オリンピックによって景気を押し上げる材料はいくらでもあります。
それに伴って景気が過熱しすぎないように、日銀が貸出金利を上げて、調整を行ってくる可能性は十分にあります。

また、景気が良くなれば金利が上がるだけでなく、土地の価格すなわち地価も上がっていくことが考えられます。
地価が上がれば当然、マンションにしろ戸建てにしろ、住宅の購入にかかる費用も大きくなるわけです。

②日銀がインフレ2%を目標に金融政策を行っている

日銀は現在、インフレ2%を目標に金融政策を行っています。
インフレ2%の目標というのは、今よりも物価を2%上げよう、という意味です。

今は日本はデフレーションの時代です。デフレーションとは物価が低いことを指します。
デフレーションは、私たち消費者にとっては「物が安く買えて良い!」と思うかもしれませんが、物が安いということは企業にとっては「売上」が下がるということになるので企業の業績は下がります。
企業の業績が下がると当然会社員の給料やボーナスも減ります。
その結果、高いものにはお金を出せない、安いものを買いたいとさらに考えていくことになります。
このようにデフレの下では経済自体が縮小していくような悪い循環が起きてしまいます。
これを「デフレスパイラル」と呼んだりします。

このようなデフレのもとでは、日本経済は発展しないので、なんとかデフレを脱却しようということで、日銀で現在インフレ2%を目標に金融政策が行われているということです。
ちなみにマイナス金利もその施策の一つです。

インフレ2%を達成すると、単純に考えて物価が2%上昇することになります。
例えば住宅であれば、3000万円で買えたものが、物価2%の上昇により、3060万円でしか買えなくなるということです。
日本の経済にとってはプラスかもしれませんが、個人にとってはこの負担は少々キツイものがありますよね。

なのでインフレに移行する前に、買えるものは買っておきたいというところです。

③2019年に消費税増税を控えている

現在消費税は8%ですが、2019年10月には消費税が10%になります。
当然、住宅の購入にも適用される訳なので、仮に3000万円の物件を購入する場合、

【消費税8%】→消費税240万円
【消費税10%】→消費税300万円

となり、3000万円の物件を購入する場合、消費税だけで今よりも60万円多く支払うことになるということです。

これは住宅購入予定の人にとっては大きな負担となります。

④住宅ローン控除がなくなる可能性がある

現在「住宅ローン控除」という住宅購入者にとって素晴らしい制度があります。
これは簡単に言うと、「10年間にわたって、毎年住宅ローンの残高に応じて、国からお金がもらえる」という制度です。
毎年12月31日時点の住宅ローン残高の1%のお金をもらうことができます。(厳密に言うと払ったお金が戻ってくるという言い方の方が正しいですが。)

例えば平成30年1月に、住宅ローンを3000万円で組んで、毎月の返済がスタートし、
平成30年12月31日に、住宅ローン残高が2900万円だとします。

この場合、
2900万円×1%=29万円(もらえるお金)

となり、29万円が国から支給されるということです。
(※所得税との関係でこれより下がる場合があります。詳しく知りたい方は税務署に尋ねるのをオススメします。)
そしてこれは、住宅ローンを組んでから10年間にわたって毎年もらうことができます。

この制度は住宅の購入を促そうと現在行われている制度なので、当然なくなる可能性もあります。
住宅ローン控除の適用を受けれるかどうかで家計の負担はかなり変わってきます。
この住宅ローン控除という住宅購入者にとって素晴らしい制度があるうちに、住宅ローンを組んでおくことをオススメします。

以上が、私が、住宅購入を考えている人にできるだけ早く行動することをすすめている理由になります。
是非参考にしてみてください。