どーも、おしのです。

たまに、住宅ローンを組むのは30~40代が多くて、50代になると住宅ローンを組むのはもう遅い、なんてことを聞くことがあるかもしれません。
銀行員時代から、現在(独立FP)に至るまで、色々な50代の方から、「住宅ローンを組みたいと思うんですが、年齢的に厳しいですかね」と相談を受けてきました。

結論から言いますと、55歳未満なら全然問題ないです。
55歳以上になると、審査で少し厳しく見られるようになる、ということになります。
ただ55歳以上だから審査に通らないとか、そういう話ではなく55歳以上でも審査は全然通ります。

それでは50代からの住宅ローンについて話していきます。

住宅ローンの審査は55歳を境に厳しくなる?

私が働いていた銀行では、55歳を境に住宅ローンの審査が厳しくなりました。
全ての銀行が同じ基準ではないと思いますが、職業上色んな銀行の審査結果を知り得たことを根拠に話すと、大体どこの銀行も似たような基準で審査していることが分かりました。

50代前半はハッキリ言って30~40代とほとんど変わらない審査基準で審査していましたが、55歳以上になると退職が近くなるので、退職時期がいつか、推定退職金はいくらか、一時退職後に給料は減るものの同会社に身を置けるのか、などそういったことが審査の材料として加わります。
そのため、55歳未満に比べて審査での項目が増える分、審査が厳しめに見られるようになるということです。

これはあくまで会社員の場合なので、個人事業主の方などは退職時期が無い分、年齢は会社員ほど重要視されません。

正直60歳を超えるとかなり住宅ローンの審査は厳しくなりますが、50代前半ならもちろん、50代後半の方も審査で通る方は普通に多いです。50代後半だから通らないというのは、通らなかった人が声を大にして話しているので、ただ単にそこが注目されがちなだけです。
審査はとりあえずしてみることをオススメします。申込から結果がでるまで2~3日でお金はかかりませんしね。

銀行員としてはノルマがあるので、どれほど属性が悪かろうと、担当者は意地でも通そうと考えることが多いので、銀行員には相談するときにできるだけ良い材料を与えてあげることも一つのポイントです。

審査自体は保証会社が行います。銀行はあくまで審査結果に基づいて契約して融資実行するだけの役割です。
そのため、銀行の担当者は、保証会社の審査担当者とひたすら戦います。

銀行担当者・・・審査を通すために、良い材料を保証会社の担当者にぶつけまくる。貸し倒れのリスクがない、申込人は信用における人だということを意見書を書いてぶつけまくる。

保証会社・・・この人は貸し倒れるリスクがあるんじゃないか、信用できない人なんじゃないかなどアラを探す。

私も銀行員時代は審査を通すために保証会社と戦いまくっていました。
例え審査が否決で降りてきても、意見書を書きまくって否決を取り下げさせて、審査を無理くり通させたことも何度もあります。(笑)

このように銀行員が、審査する保証会社と戦うための武器(良い材料)をいかに持っているかで審査は大きく結果が変わってきます。
例えば、身内が連帯債務者になることができるだったり、一時退職した後も70歳までは会社に身を置いて働くことができるだったり、何でもいいのでとりあえず良い材料になりそうなものを銀行員に伝えることは一つのポイントになります。

あとは銀行担当者の腕にもよりますが、担当者が意見書を上手く作って保証会社を納得させてくれれば勝ちです。

ただ、1つ勘違いしてほしくないのは、良い材料が無いから通らないという訳ではないということです。
あくまでそういった材料はあると審査するうえで便利なだけで、無いから不便という訳ではありません。基本的には多くの人はそういった材料がなくても審査は普通に通っていますので、大切なのはとりあえず審査してもらうことです。

正直、50代で住宅ローンを組めたらお得って話

50代で住宅ローンを組むのは遅いどころか、50代で住宅ローンを組めたら正直お得です。
50代で銀行の住宅ローンを組めないことの理由の多くに、団信に加入できないという理由があります。
ご存知の方も多いと思いますが、団信(団体信用生命保険)というのは、もし万が一本人が死亡や高度障害を負った場合、その時点で残っている住宅ローンは全て保険会社が一括返済してくれる、という保険です。

この団信の保険料は全て銀行が負担してくれるので、本人の負担はゼロです。タダで保険に入れる訳です。
一方で、団信保険料は全て銀行が負担する代わりに、この団信に加入できない場合は住宅ローンは組めないですよ、とほとんどの銀行で設定されています。

団信は保険なので、過去の病気歴や現在の健康状態の告知(審査)があり、加入できない場合があります。
20代~30代の人よりも50代の人の方が、総合的に健康状態に自信のない方は多いですよね。
年齢を重ねれば重ねるほど、身体は衰えていきますし、過去に大きな病気を患ったことのある方や、健康状態が悪い方(高血圧など)は増えますよね。

つまり、若い人に比べて団信に加入できない(告知審査に通らない)場合が増えるため、結果として住宅ローンを組めない人の割合が若い人に比べて多いという訳です。

ただ言い方は良くないですが、反対に考えると20代や30代で住宅ローンを組む方よりも、50代で住宅ローンを組む方が団信の恩恵は結果的に受けやすいです。
20代や30代からの20年間~30年間よりも、50代からの20~30年間の方が健康状態が崩れてしまう可能性が明らかに高いので、何かあった時は団信によりその時点で残っている住宅ローンは保険会社が一括返済してくれます。
そのため極端な話、50歳で3000万円の住宅ローンをフルローンで組んで、55歳で団信の適用事項(該当の病気等)になった場合、その時点で住宅ローン残債が2500万円であれば、この2500万円は保険会社が一括返済してくれるということになるので、単純に2500万円得したという話になります。

最近はネット銀行では「八大疾病保障付き団信」といったような幅広い団信もあるので、これらのような団信を利用しておけば、その恩恵をかなり受けやすいです。
もちろん健康に越したことは無いですが、どうしても年齢を重ねるとそういった病気になる事も多くなるので、反対にこれを利用することで、保障が適用された時にそれ以降の住宅ローンの毎月返済が無くなる訳なので、毎月返済していた分の返済金をそのまま治療費にも充てることができる、といった保険的な考え方をすることができます。

賃貸の場合は病気になっても、家賃が無くなるなんてことは無いですからね。
50代で住宅ローンを組むことはこういった面からもかなりオススメであり、タイミング的に遅いなんてとんでもない話で、かなり賢い選択だと思います。

50代で住宅ローンはいくら組める?

私が働いていた銀行の例ですが、基本的に55歳未満であれば、年収の7倍くらいまでは問題なく組めます。
年収500万円の方なら

500万円×7=3500万円(借入限度額)

といった感じですね。

これが55歳以上になると年収の計算の仕方が変わるので、単純に年収の7倍という話ではなくなります。
単純に年収の何倍という話ではなく、退職時期はいつか、推定退職金額はいくらか、一時退職なのかどうか、などそういった個々人に応じて特別な計算が行われます。
基本的には55歳未満の方よりも借入限度額は多少なり下がる感じですね。

とりあえず審査に出してみないと自分の上限金額が分かります。
例えば3000万円で申し込みをして、2500万円の減額承認なんてパターンがあるので、その場合はその金額が現在自分が組める上限金額なんだな、と把握することができます。
その場合は2500万円を予算に物件を探していくといった形になります。

さいごに(元銀行員おしののひとこと)

以上、50代の方の住宅ローン事情について話してきましたが、50代で住宅ローンが組めれば勝ちです。
言い方は良くないですが、団信が適用できる可能性が高いというのはかなりメリットのある話で、万が一のことがあった場合にも、団信の適用により、少ない費用で大きな資産がお家族に残すことができることになります。
賃貸である限り家賃は払い続けなければいけませんが、住宅ローンの場合は、ローン完済後に家賃の代わりになるものは払う必要が無くなる訳ですからね。他の家族にとってはかなりありがたい話になります。

以上を含めて、50代からの住宅ローンはかなりメリットが大きいです。
ただ、年齢を重ねるほど審査は少なからず厳しく見られるようになるので、今住宅ローンを検討中の50代の方は、1カ月でも早く動くことをオススメします。