どーも、元銀行員のおしのです。(現在FPとして独立)
またまたお客さんからよく受けていた相談シリーズで、
「住宅を一括で購入するか、それとも住宅ローンを組むか」という相談を銀行員時代から現在に至るまでたくさん受けてきました。
タイトルにもあるように結論としては
「住宅一括購入するよりも10年間だけ住宅ローンを組んだ方が賢い」です。
今回はその理由についてできるだけ初心者向けに分かりやすく話したいと思います。
ポイントは超低金利時代、住宅ローン控除、団信の3点
そもそも住宅ローンの一括購入を検討している人の理由のほとんどは、
「住宅ローンの利息がもったいない」ということです。
ただし多くの人はこの利息については漠然としか理解していません。
今変動金利で借りれば何%程度か、固定金利なら何%程度か、住宅ローンを組んで支払う利息はどのくらいになるか、こういったことについてほとんどの人はきちんと認識していません。
厳密に言えば認識していないというよりも、「正直住宅ローンについてよくわからない」という人が大半ではないでしょうか。
よくわからないけど、とりあえず一括購入すれば利息は抑えられるだろうから検討する、といった程度にしか考えていない人が多いです。
これは仕方のないことで、私は銀行員として住宅ローンを扱っているから知識があるだけで、普通に生活していたら住宅ローンについて考えたところでよくわからないのは当然だと思います。
ただし現在の状況では、「住宅ローンの利息がもったいないと思うから」となんとなくの理由で、住宅の一括購入を行うのはあまりにもったいないと思います。
一括購入をするよりも、間違いなく「10年間だけ住宅ローンを組んだ方がいい」と考えます。
それくらい現在は、住宅ローンを組む上でタイミングが良すぎるということです。
このように考える上で、ポイントは大きく3点あります。
それは
①超低金利時代
②住宅ローン控除
③団信(団体信用生命保険)
の3点です。
①超低金利時代とは?
今日本では超低金利時代と言われるくらい金利の低い時代です。
過去これほどまでに金利が低かった時代はありません。
変動金利で言うと一番低いネット銀行で0.5%程度です。もうメチャクチャと言っていいくらい低いです。
これがまずポイントの1つ目です。
②住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除というのは、
「12月31日時点の住宅ローン残高の1%が、住宅ローンを組んだ後10年間にわたって毎年支給される」
という内容の政策です。
実際は、所得税から控除されるということになるので、払った税金が戻ってくるという言い方の方が正しいですが、受け取る側としては、どっちの言い方でも問題はないです。
例えば、平成30年1月に住宅ローンを3000万円で組み、返済がスタートして
平成30年12月31日の住宅ローン残高が2900万円だとします。
この場合、
2900万円×1%=29万円(支給されるお金)
となり、この年は29万円がもらえるということになります。
(厳密に言えば所得税との関係で29万円よりも少なくなる場合はあります。詳しくはこちらも参考に→住宅ローン控除について)
その翌年の平成31年の12月31日に住宅ローン残高が2800万円になっていれば、平成31年度は
2800万円×1%=28万円
となり、28万円が支給されるということになります。
このように住宅ローンを組んでから10年間は、住宅ローンの残高の1%が戻ってきます。
これは、景気政策の一環として住宅購入を促そうと政府が行っている政策の一つです。
もちろんずっとこんな素晴らしい政策があるわけではなく、景気が回復してきたと政府が判断すれば、この政策は終了すると思います。
この住宅ローン控除がポイントの2つ目です。
③団信(団体信用生命保険)とは?
団信(団体信用生命保険)は、ご存知の方も多いと思いますが、これは住宅ローンを組んでいる本人が死亡したり所定の高度障害を負ったりしたときに、その時点で残っている住宅ローンが保険会社により一括返済されるという内容の保険です。
住宅ローンを組む時は基本的に誰でも加入します。(フラット35以外)
費用は銀行が負担してくれるためお客さんの手出し負担はゼロです。(フラット35のみ有料)
そのため、万が一住宅ローンを借りている本人が死亡したりしてしまった場合でも、残された家族には購入した家と土地が残り、住宅ローンの負担は一切残りません。
これがポイントの3つ目です。
3つのポイントを考慮すると
①超低金利時代、②住宅ローン控除、③団信この3つのポイントにより、「住宅を一括購入するよりも、10年間だけ住宅ローンを組んでおく」方が賢い選択だと思います。
10年間だけ住宅ローンを組んでおくというのは、「35年返済で住宅ローンを組んで、10年後に一括返済をする」という意味です。
まずポイントの1つ目、現在は超低金利時代なので、仮に3000万円を変動金利0.5%で35年返済で組んだ場合でも、最初の10年間にかかる利息の合計は約123万円にしかなりません。
これに対して現在住宅ローン控除があるので、仮に平成29年12月に同じ条件(3000万円、金利0.5%、35年返済)で住宅ローンを組んだ場合、住宅ローン控除期間の10年間で約270万円戻ってきます。
つまり利息と住宅ローン控除の関係を見ると、10年間で150万円ほどお得になり、もはや資産が増えてしまうという現象が起こります。
ここで、変動金利が0.5%から上昇するリスクがあるじゃないかという人もいると思います。
確かに変動金利は金利上昇のリスクがありますが、過去の統計を見る限り、変動金利というのはそんなにガンガン上がっていく金利ではないです。
現に過去20年間住宅ローンの変動金利は下がることはあっても、上がったことはほとんどありません。上がってもほんの少しです。
今後住宅ローンが上がっていくことがあるとしても、いきなりガンガン上がってしまえば、住宅ローンを組んでいる人にとっては急激な負担になりかねないので、上がるとしてもジワジワしか上がっていかないと推測します。
ましてやたった10年間のような短い期間であれば、変動金利の金利上昇リスクは考慮する必要はあまりないと思います。
この2つのポイントだけでも十分に住宅ローンを組んでおく価値はあるんですが、これに加えてトドメとして3つ目のポイントである「団信」があります。
住宅ローンを組んでいる間は、本人が万が一死亡したりした場合、その時点で残っている住宅ローン残高はゼロになります。
最近では「三大疾病保証付き団信」といったような手厚い団信もあり、死亡した場合以外にも、がんや急性心筋梗塞、脳卒中など発症した場合にも、その時点で残っている住宅ローン残高はゼロになるようなものもあります。
つまり10年間のうちで万が一本人に何かあった場合は、住宅ローン残高がゼロになる保険が入れて、かつ、10年間で住宅ローン控除を使うことにより資産を増やすことも可能、という話です。
35年間住宅ローンを組む場合は確かに利息はもったいないですが、住宅ローン控除がある10年間だけ住宅ローンを組んで、控除期間が終わる時に一括返済する予定であれば、かなり賢く住宅の購入ができるというわけです。
私が担当したお客さんには必ず話すんですが、普通に生活しているとなかなかこういったところまで頭が回る人は少ないと思います。
正直これほどお得に住宅ローンを組めるタイミングってなかなかないと思いますし、今、住宅を一括購入する予定の人はこういったポイントを考慮したうえで検討することをオススメします。
ぜひ参考にしてみてください。